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お付き合い | ichikoTV ichikoTV

お付き合い

ちょうど寒中見舞い状が届く時期。「ああ・・・」という思いで丁寧に一通ずつに目を通す。いろいろなことがあったのだろうと思いながら。

先日、友人たちと話している中で「今年で賀状はやめることにするのでご放念ください」という年賀状が何通かあったことを聞いた。彼女は不思議そうな表情をしながら「そんなことを決断する時期があるのかしらね?」と言った。「もう仕事でかかわるかも知れないと思って矢鱈と名刺交換するのもねぇ・・・必要ないのかも」と。確かに!ある時、人はそんな節目を迎えるということだろう。

年賀状の季節になると、私は、昔、お世話になったある方が病院のベッドの上で「もしもの時は、今年の年賀状の方々に知らせてほしい」と奥様に言われたということを思い出す。人生最期の「通知」とでもいうのだろうか?誰に自分の最期を知らせるのか?その方にとってはその年に届いた年賀状であったのだろう。

今、遺稿集を編集しながら故人の親友と漸く連絡がとれた。メッセージが届いた。その中に病気が分かった彼が奥様に箝口令を敷いて決して誰にも言わなかった、知らせなかった。しかしその事実を知らなかった友人、知人たちは必死に彼に連絡を取り続ける。現実を知ったその時に多分、私自身の考えだが、もう、いいようのない感覚にとらわれたのだと。このところ、いろいろ考えながら、仕事真っ只中にいる時、彼は決してそのようなことは思わないものだろうが、社会で第二の人生を楽しむ年齢になった時を迎えると、やはりその人間ならではのこれまで培った考え方、そして何よりも美学を通すものなのだろう・・・そう思えるようになった。

 

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