都内某所ちょいと高級な喫茶店へ。次の用件まで40分ほどの時間があったので、原稿のチェックをしようと席についた。
「コーヒーを」と言うとウエイトレスがニコリと微笑む。
はて?背後から聞こえてくる「費用対効果」という言葉。連呼に近い。何気なく振り向いてみる。ビジネスマン2人。仕事の話か?としばらく話を聞いていた。
いやはや!すごい費用対効果があるもんですなあ~
聞いていて、びっくりですよ~
「だからね、向こうから会いたいって東京に来てくれれば・・・そりゃいいんだけどね~」
「つまりそれが、費用対効果大ということですね?」
「ははは!そうそう!」
そうですか‼ えっ?
なるほどねぇ。
いわゆる遠距離恋愛とかしているんですか?
新幹線!新幹線!と言葉の端々に出でくる、交通費とかその他諸々の諸経費が計算されているんでしょうか?
しかし、この男性がそんな計算をしているって相手の女性は分かっているのかしらん?
そうそう、昭和歌謡のお話しですが『木綿のハンカチーフ』という歌がありましたね。
太田裕美が透き通る声で切なく歌ったあの歌。
流行りの指輪を送った男も最後に言う。
「恋人よ 君を忘れて 変わってく ぼくを許して」
そして更に言う。「毎日愉快に 過ごす街角 ぼくは ぼくは帰れない」と言ってしまう。
女は一言最後のわがままとして贈りものをねだる。
「ねえ 涙拭く木綿のハンカチーフください」なんてね。
このハンカチーフという言い方が実に・・・意味深でもある。
しかし、多分、都会でウカれている男は気づかないのでしょうね~(^^♪
誓い合った二人でさえ、「距離」とは二人を遠ざけてしまったのだろう。
昔、東京発新大阪行の最終列車「ひかり」があったな。
出発時刻は21時ちょうど。
シンデレラで主人公が舞踏会に行くための魔法の解ける午前零時に見立ててダイヤが組まれていた。
恋人たちは週末に出会い、そして別れていく・・・
日曜の夜の新幹線。
プラットホームで何やら呪文・・・
今思えば何ともロマンチックであるなあ。
江戸の近松の心中ものまで行くと行き過ぎだけどねぇ、男と女って「費用対効果」まで出されたたら一巻の終わりじゃないの?
あまりにも・・・切ないね。
その、男の彼女はどこにいるの?。
九州か?関西か?
「いいから、早く別れなさい」と伝えてあげたい。
あああ~またまたお節介が始まった‼
原稿チェックが全く進まぬうち時間が過ぎた‼