たまたま入った珈琲店。
「すごい荷物ですね・・・」とその店の主人らしい人が微笑む。
「ええ」と言い腰かける。
妙に落ち着いた店。
挽きたての香りに包まれる。
そこにあったある雑誌をパラリと捲る・・・
「青蛾」の話が書いてあった。
そう、新宿にあった茶房。
当時の三越の裏の路地を少し入って左側にあった。
木造和風の喫茶店が放つ異彩。。
青蛾とは眉墨で描いた青く美しい眉のことを言う。
美人の異称である。
そう、何もかもが「在りし日」の記憶。
胸の奥の奥が何故か深くじんとした。
懐かしい、そんな時空を超えたような感覚。
暫く開けずにいた本に挟まれていた恋文を見つけたような、そんな感覚。