断捨離だ!終活だ!といろいろ悪戦苦闘してみても、果たして人生って思い通りになかっているのか?
果たして、なりたかった大人になっているのか?
ふと、自分に問いただしてみる。
この映画「海よりもまだ深く」は、人生の中盤になってもまだ、それに気づかす終わってしまった夢を追いかけている主人公の良多。阿部寛がよく演じていると思う。
分かっているのに見栄はって、ごねてごねて・・・思わず笑ってしまうほどの滑稽さが伝わる。
なかでも「食品に賞味期限があるように人生の出来事にも期限切れがある。過去の栄光は永遠に続かない。愛の冷めた相手は追っても待っても戻ってこない」
ん!深い!
こんなフレーズは、多分、活気の中で生活して、熱気溢れる若い時代にはなかなか伝わらない?是枝監督の味なのだろうな。
私のカラオケのおはこテレサ・テンの「別れの予感」の歌詞から由来するというタイトル。そうか!海よりもまだ深くとはそういうことか!とちょっとした感動である。
古いラジオから流れてくるテレサ・テン。「別れの予感」。これがバックとなって樹木希林扮する良多の母親が「海より深く人を好きになったことなんてないから生きていける」という。
そう!人生は思い通りにならない。
でも人や物への執着を捨てれば少し楽に生きられる。
この母親は知っている。
15年前の文学賞で得た小説家の肩書。
別れたはずの妻と息子たち。
壊れた家庭生活。
息子の良多は執着するものがあまりにも多いのだ。
あらためてモノやコトに執着するということを考えるよい機会になる。